しゃべり多め、中身少なめ

雑記的な、備忘的な駄文を投下します。

街から光と音が消えた日~北海道地震、大停電~#3

▼停電の朝
静かな夜明けだった。
近所を見回しても外見だけでは特に変わった様子は見受けられない。
信号が光を失っている点を除いては。
実家はオール家電ではないし、ガスも水も使える。
まあTVは使えないが、日中の生活には特に不便は感じられなかった。
何事もなかったかのように朝食を済ませ、元々予定していた墓参りに出かけることに。

▼信号が点灯しない道路は怖い
我が家の墓参りはいつも近文と春光台の比較的近い2カ所を回る。
僕は恥ずかしながらペーパードライバーのため、父親の運転で墓地へと向かう。
近所の道路はそれほど交通量が多く無かったが、幹線道路になるとみんかかなりの
スピードで飛ばしている。
その隙間を縫うようにして走るのはかなり怖い。
それでもなんとか墓参を済ませ、なんとか帰宅した。
ご先祖様もまさか北海道がこんなことになるとは思ってないだろう。

▼近所を歩いてみる
ひたすらラジオだけを聴いているのも疲れてしまうので、妻と近所を歩てみることにした。
道路1本向こうの町内にあるドラッグストアは普通に営業していた。
早々に復電したのだろうか。
逆にうちの町内に関しては、銀行・スーパー・コンビニすべて停電しており、
スーパーは店頭で缶詰や電池などを手計算で販売していた。
銀行は当然一切の取引ができないため、本日休業の貼り紙がしてあった。
交通量の少ない脇道を歩いてみて、僕はあることに気づいた。
街から音が消えてしまっているのだ。
決してにぎわっている町内ではないが、いつもならパチンコ屋やスーパーなどから
何かしら音が聞こえるし、今日みたいに少し暑い日なら、窓を開けている家からTVの音が漏れてきたりするのだが…
なんだか寂しいような怖いような気持ちになり、僕らは家に戻った。

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▼親父殿は強かった
まだ日が落ちるまでは少し時間があったが、北海道は内地より日の入りが早い。
ネットで調べても情報が錯綜していて復電がいつになるかわかったものではなかった。
ところが父親はなんだか楽しそうだ。
アウトドア好きな父親は、キャンプ道具を引っ張り出してきて備品をチェックしている。
さらに庭の畑で栽培していたカボチャを食料の備えとして掘り出してきた。
そして近所のコンビニを偵察してくると言い、戻ってきたその手にはワインが2本入った袋をぶら下げていた。
恐らくコンビニでみんなが買い求めるのは電池や食料・水分の類のはずだが、堂々とアルコールだけを会計する父親の姿を思い浮かべるとなんだか笑えてきた。
「こういうときは慌てても仕方ないべ」
そうだった。この親父殿は滅多なことでは動じないのだ。
「そうだね。飲も飲も」
結局我が家では陽の高いうちからいつもの宴が始まったのだった。